ジャケ買いの現場

KING CRIMSON

クリムゾン・キングの宮殿

In the Court of the Crimson King 1969

個人的体験談だが、この『クリムゾン・キングの宮殿』との出会いは正真正銘の「ジャケ買い」だった。まだLP盤の時代、駅前商店街のレコード店で、名前くらいしか知らなかったこのバンドのジャケットを手にした時、うわ〜なんじゃこりゃ〜と、グロテスクな“赤ら顔”に目が釘付けになったことを鮮明に覚えている。10代の子供にとってはLP1枚も大きな出費なので、しばらく店頭で悶々としていたが、結局ジャケットの迫力に押されて購入。そして、スピーカーから飛び出してきた音はと言うと、その後の音楽の趣味を変えてしまうほど衝撃的なもので、私にとって忘れられない「ジャケ買い」体験となった…のは、もう遠い昔の話。

商品がLPからCDへと変わり、小さなスリーブに収まったこの顔に「ジャケ買い」させるようなかつてのパワーはないかも知れない。もちろん、ジャケットの迫力がなくなったからといって、その音楽的価値まで変わるものではないけれど、ジャケットと音の両方で“衝撃の宮殿体験”をする機会が失われたのは、ちょっと残念な気がする。
実際、CDになってから「ジャケ買い」することはずいぶんと減った(ないわけではない)。しかし、音楽はそもそも“内容”こそが商品なわけで、ジャケットは外装のパッケージみたいなもの。外装がきれいに越したことはないが、外面だけで判断する「ジャケ買い」なんていうのはおかしな話だ。そう考えると、もはやジャケットもない音楽配信というのは、実は一番正しい音楽商品のかたちなのかも知れない。

そんなわけで、「ジャケ買い」という行為や、ジャケットそのものがなくなるかも知れない(いや、なくならないとは思ってますけど)時代だからこそ、内容もジャケットも素晴らしい、まさに「ジャケ買い」して間違いなし!という作品を回顧してみたい。サイズ的にインパクトの弱くなったCDをフォローする意味もあるので、「ジャケットを見て気になっていたけど、聴いてない」という作品の参考になればよいと思う。ただし、ジャンルは偏っているので、あしからず。


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